石灰沈着性腱板炎・石灰性腱炎
- 突然、肩に激痛が出た。
- 夜、肩がズキズキして眠れない。
- 腕を少し動かすだけでも強く痛む。
- 肩が痛すぎて、服の着替えや洗髪ができない。
- 四十肩・五十肩だと思っていたけれど、急に痛みが強くなった。
- 痛み止めを飲んでもつらいほど、肩が痛む。
〖石灰沈着性腱板炎とは?〗肩の腱板に石灰がたまり、強い痛みが出る状態|ラッコ整骨院 宇都宮鶴田店
石灰沈着性腱板炎とは、肩の腱板に石灰が沈着し、炎症や強い痛みを起こす状態です。
腱板とは、肩の奥で腕の骨を支え、肩を安定させながら動かす筋肉と腱の集まりです。
主に、棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋という筋肉が関係します。
この腱板の中に石灰がたまると、肩の痛みや動かしにくさにつながります。
特に多い症状は、
✅ 突然の強い肩の痛み
✅ 夜間痛
✅ 肩を少し動かすだけで痛い
✅ 腕が上がらない
✅ 肩の前〜外側が痛い
✅ 痛みで眠れない
✅ 四十肩・五十肩のように見える
などです。
日本整形外科学会では、石灰沈着性腱板炎は40〜50歳代の女性に多く、肩腱板内に沈着したリン酸カルシウム結晶による急性炎症で肩の疼痛・運動制限が起こると説明されています。
AAOSも、30〜60歳代で起こりやすく、肩の前方または側方の痛み、外傷や動作がなくても起こる強い痛み、可動域低下や硬さを伴うことがあると説明しています。
ここで大切なのは、
「急に肩が激痛=四十肩・五十肩」と決めつけないことです。
四十肩・五十肩は、徐々に痛みや硬さが出てくることが多い一方で、石灰沈着性腱板炎はある日突然、夜に強い痛みが出ることがあります。
また、腱板損傷・肩インピンジメント症候群・石灰沈着性腱板炎は症状が似ることもあるため、肩の痛み方・夜間痛・筋力低下・画像所見を含めて確認することが大切です。
〖石灰沈着性腱板炎の原因と主な症状〗なぜ急に肩が激痛になり、腕が動かせなくなるのか?|ラッコ整骨院 宇都宮鶴田店
石灰沈着性腱板炎では、腱板内に沈着した石灰が炎症を起こすことで強い痛みが出ます。
ただし、なぜ石灰が沈着するのかについては、まだはっきりしない部分もあります。AAOSも、原因は不明な点がある一方で、腱の使いすぎが関係する可能性があると説明しています。
① 石灰が腱板内にたまる
石灰沈着性腱板炎では、腱板内にリン酸カルシウム結晶が沈着します。
日本整形外科学会では、この石灰は初期には濃厚なミルク状で、時間が経つにつれて練り歯磨き状、石膏状へと硬く変化していくと説明されています。石灰がたまって膨らむことで痛みが増し、腱板から滑液包内に破れ出るときに激痛になるとされています。
患者さん向けに言うと、
肩の腱の中に石灰がたまり、それが強い炎症を起こしている状態
と考えると分かりやすいです。
② 急性型・亜急性型・慢性型がある
石灰沈着性腱板炎は、痛みの出方によって経過が異なります。
日本整形外科学会では、発症後1〜4週に強い症状を呈する急性型、中等度の症状が1〜6か月続く亜急性型、運動時痛などが6か月以上続く慢性型があるとされています。
特に急性型では、
✅ 夜に突然激痛が出る
✅ 痛くて眠れない
✅ 少し動かすだけでも痛い
✅ 腕を体から離せない
✅ 着替えや洗髪ができない
というように、かなり強い症状が出ることがあります。
③ 肩甲骨・胸椎・姿勢も回復に関係する
石灰そのものは腱板に沈着しますが、肩の回復を考えるうえでは、肩甲骨や胸椎の動きも大切です。
肩を動かすときには、
✅ 肩関節
✅ 腱板
✅ 肩甲骨
✅ 胸椎
✅ 鎖骨
✅ 肋骨
✅ 体幹
が連動します。
急性期の強い痛みが落ち着いたあとも、肩をかばい続けると肩甲骨や胸椎の動きが悪くなり、肩の可動域低下や二次的な肩こり・首の張りにつながることがあります。
つまり、石灰沈着性腱板炎では、
急性期は痛みのコントロール、回復期は肩甲骨・胸椎・腱板機能の回復
という考え方が大切です。
石灰沈着性腱板炎で出やすい症状
石灰沈着性腱板炎では、以下のような症状がみられます。
✅ 突然の強い肩の痛み
✅ 夜間痛
✅ 痛みで眠れない
✅ 肩を少し動かすだけで痛い
✅ 腕が上がらない
✅ 肩の前〜外側が痛い
✅ 肩を触ると痛い
✅ 服の着替えがつらい
✅ 洗髪やドライヤーがつらい
✅ 四十肩・五十肩のように肩が動かしにくい
ただし、以下のような場合は注意が必要です。
🟥 転倒・外傷後から肩が上がらない
🟥 肩が変形している
🟥 腕や手にしびれがある
🟥 腕に力が入りにくい
🟥 発熱や強い腫れがある
🟥 痛みが日に日に悪化している
🟥 夜間痛が非常に強く、眠れない
🟥 数日たっても強い痛みが引かない
このような場合は、石灰沈着性腱板炎だけでなく、腱板断裂・骨折・脱臼・感染・頚椎由来の神経症状なども考える必要があります。
〖石灰沈着性腱板炎の保存療法と自宅での注意点〗急性期の対応・整形外科受診・避けたい動き|ラッコ整骨院 宇都宮鶴田店
石灰沈着性腱板炎では、痛みの時期に合わせた対応が重要です。
特に急性期の激痛がある場合は、無理に動かしたり、強く揉んだりするよりも、まず整形外科で状態を確認し、痛みを落ち着かせることが優先です。
霞ヶ浦医療センターでは、石灰沈着性腱板炎は自然に軽快することも多く、まずは痛み止め、ステロイド注射、理学療法などが行われ、改善しない場合には体外衝撃波、石灰の穿刺吸引・洗浄、難治例では手術が選択されることがあると説明されています。
痛みの程度に合わせた考え方
🟦 軽度
肩を動かすと痛いが、日常生活はある程度できる
→ 痛みを悪化させる動作を避け、肩甲骨・胸椎の動きを確認する
🟨 中等度
夜間痛や動作時痛があり、着替えや洗髪がつらい
→ 整形外科で画像検査を検討し、痛みの状態に合わせて運動量を調整する
🟥 強い症状
突然の激痛、眠れない痛み、腕がほとんど動かせない
→ 早めに整形外科で検査・痛みのコントロールを受ける
自宅で気をつけたいこと
✅ 急性期は無理に肩を動かさない
✅ 痛みが強い方向へストレッチしない
✅ 夜間痛がある場合は寝る姿勢を工夫する
✅ 痛い肩を下にして寝ない
✅ 重い物を持たない
✅ 高いところへの作業を避ける
✅ 痛みが落ち着いたら少しずつ肩甲骨を動かす
✅ 痛みが続く場合は整形外科で画像検査を受ける
急性期は、「固まらないように頑張って動かす」よりも、まず炎症と痛みを落ち着かせることが大切です。
避けたいこと
⚠️ 痛みを我慢して腕を上げる
⚠️ 強く肩を揉む
⚠️ 反動をつけて肩を回す
⚠️ 夜間痛が強いのにストレッチを続ける
⚠️ 痛み止めだけで無理に仕事やスポーツを続ける
⚠️ 四十肩・五十肩だと思い込んで放置する
⚠️ 激痛が続くのに画像検査を受けない
石灰沈着性腱板炎では、急性期と慢性期で対応が変わります。
急性期は、強い炎症と痛みを落ち着かせることが優先です。
慢性化して痛みや石灰が残る場合には、医師の判断で体外衝撃波や穿刺吸引、洗浄などが検討されることがあります。慢性肩石灰性腱炎に対する体外衝撃波療法については、日本国内でも保存療法に抵抗する慢性例での有効例が報告されています。
一方で、2024年の報告では、体外衝撃波療法に関する研究はあるものの、治療選択を決めるには質の高い研究がさらに必要とされています。
つまり、体外衝撃波は有力な選択肢のひとつですが、
急性激痛の初期対応として何でもすぐ当てればよいものではなく、時期・石灰の状態・痛みの程度を見て判断することが大切です。
〖ラッコ整骨院での評価とサポート〗肩だけでなく腱板・肩甲骨・胸椎・動作まで確認します|ラッコ整骨院 宇都宮鶴田店
ラッコ整骨院 宇都宮鶴田店では、石灰沈着性腱板炎が疑われる肩の痛みに対して、痛みの強さや発症状況を確認し、必要に応じて整形外科での画像検査をご提案します。
石灰沈着性腱板炎は、レントゲンやエコーなどで石灰の有無を確認することが重要です。Orthobulletsでも、肩のX線で腱板付着部付近の石灰沈着を確認することで診断されると説明されています。
① 痛みの出方と発症時期を確認します
まずは、痛みがどのように始まったかを確認します。
✅ 突然痛くなったのか
✅ 夜間に激痛が出たのか
✅ 徐々に痛くなったのか
✅ 腕をどの方向に動かすと痛いのか
✅ 安静時にも痛いのか
✅ 外傷のきっかけがあるのか
✅ しびれや筋力低下があるのか
石灰沈着性腱板炎では、急に強い痛みが出ることがあります。
一方で、腱板断裂や石灰沈着以外の肩疾患でも似た症状が出るため、決めつけずに確認します。
② 腱板損傷・四十肩・インピンジメントとの違いを確認します
肩の痛みでは、以下の症状との見極めが大切です。
✅ 四十肩・五十肩
✅ 腱板損傷・腱板断裂
✅ 肩インピンジメント症候群
✅ 上腕二頭筋長頭腱炎
✅ 頚椎由来の痛み
✅ 骨折・脱臼
✅ 感染や炎症性疾患
特に、急に肩が痛くなり腕が動かせない場合、石灰沈着性腱板炎だけでなく腱板断裂や骨折なども確認が必要です。
③ 肩甲骨・胸椎・姿勢を評価します
急性期の痛みが落ち着いてきたら、肩だけでなく肩甲骨や胸椎の動きも確認します。
当院では、
✅ 肩甲骨の動き
✅ 胸椎の伸展・回旋
✅ 猫背姿勢
✅ 巻き肩
✅ 首・肩まわりの緊張
✅ 腱板の働き
✅ 日常動作での肩の使い方
を確認します。
肩をかばい続けると、肩甲骨や胸椎の動きが悪くなり、肩の可動域制限や首・背中の張りにつながることがあります。
④ 物理療法・手技・運動療法を組み合わせます
ラッコ整骨院では、状態に合わせて、物理療法・手技療法・運動療法を組み合わせます。
ただし、急性期の激痛がある場合は、無理な施術や強い運動は行いません。
まずは整形外科での確認や痛みのコントロールを優先することがあります。
痛みが落ち着いてきたら、
🟦 痛みの軽減
🟩 肩甲骨・胸椎の動き改善
🟨 肩関節の可動域改善
🟧 腱板・肩まわりの機能改善
🟥 日常動作・再発予防サポート
という流れで進めます。
また、当院では衝撃波機器も導入していますが、石灰沈着性腱板炎に対して使用を検討する場合は、痛みの時期・石灰の状態・医師の診断状況を踏まえて慎重に判断します。急性期の激痛や画像検査が未実施の場合は、まず整形外科での確認をおすすめします。
整形外科での検査をおすすめするケース
以下のような場合は、整形外科での確認をおすすめします。
🟥 突然、肩に激痛が出た
🟥 夜間痛で眠れない
🟥 腕をほとんど動かせない
🟥 転倒・外傷後から肩が上がらない
🟥 腕に力が入りにくい
🟥 肩が変形している
🟥 発熱や強い腫れがある
🟥 腕や手にしびれがある
🟥 数日たっても強い痛みが続く
🟥 石灰沈着や腱板断裂が疑われる
石灰沈着性腱板炎は、痛みが強い時期に無理をすると生活への支障が大きくなります。
強い夜間痛や突然の激痛がある場合は、まず整形外科で確認することが大切です。
よくある質問
Q. 石灰沈着性腱板炎は四十肩・五十肩と違いますか?
違います。
四十肩・五十肩は肩関節周囲の炎症や硬さが中心ですが、石灰沈着性腱板炎は腱板内に石灰が沈着し、急性炎症によって強い痛みが出る状態です。症状が似ることもありますが、突然の激痛や夜間痛が強い場合は石灰沈着性腱板炎も考える必要があります。
Q. 石灰は自然に消えますか?
自然に軽快することもあります。
ただし、痛みが強い場合や長引く場合は、整形外科で画像検査を行い、注射・理学療法・穿刺吸引・体外衝撃波などが検討されることがあります。
Q. 痛くても肩を動かした方がいいですか?
急性期の激痛がある時期に、無理に動かすのはおすすめできません。
まずは痛みを落ち着かせることが大切です。痛みが落ち着いてきたら、肩甲骨や肩関節を少しずつ動かしていきます。
Q. 体外衝撃波は効果がありますか?
慢性化した石灰沈着性腱板炎に対して、体外衝撃波療法が検討されることがあります。国内外で有効性を示す報告はありますが、治療効果には個人差があり、時期や石灰の状態を見て判断する必要があります。
Q. 整骨院では何ができますか?
痛みの出方、可動域、腱板機能、肩甲骨・胸椎・姿勢を確認し、状態に合わせて物理療法・手技療法・運動療法を行います。急な激痛や画像検査が必要な場合は、整形外科での確認をご提案します。
まとめ
石灰沈着性腱板炎・石灰性腱炎は、肩の腱板に石灰が沈着し、炎症によって強い肩の痛みや運動制限が出る状態です。
大切なのは、
「四十肩・五十肩だろう」
「痛くても動かせば治る」
「肩を揉めばよくなる」
と決めつけないことです。
特に、突然の激痛・夜間痛・腕が動かせないほどの痛みがある場合は、石灰沈着性腱板炎を考え、整形外科での画像検査を検討することが大切です。
ラッコ整骨院 宇都宮鶴田店では、肩だけでなく、腱板・肩甲骨・胸椎・姿勢・日常動作まで確認し、痛みの軽減と肩にかかる負担の改善をサポートします。
急性期の激痛や画像検査が必要な場合は、整形外科での確認をご提案します。
急に肩が痛くなった、夜眠れないほど肩が痛い、四十肩・五十肩だと思っていたけれど痛みが強い方は、お気軽にご相談ください😊
この記事の執筆者
執筆者:塩野圭吾
ラッコ整骨院 宇都宮鶴田店 院長
柔道整復師/インソール療法スペシャリスト
最終更新日:2026年5月29日
引用文献
- 日本整形外科学会.「石灰沈着性腱板炎(石灰性腱炎)」症状・病気をしらべる.
- American Academy of Orthopaedic Surgeons. “Calcific Tendinitis of the Shoulder.” OrthoInfo.
- 霞ヶ浦医療センター.「石灰沈着性腱板炎」.
- Kim MS, Kim IW, Lee S, Shin SJ. “Diagnosis and treatment of calcific tendinitis of the shoulder.” Clinics in Shoulder and Elbow. 2020.
- Xue X, et al. “Effect of extracorporeal shockwave therapy for rotator cuff calcific tendinopathy.” 2024.
- 岩堀裕介.「肩石灰性腱炎に対する体外衝撃波療法」整形・災害外科.2016;59(9).
- Forogh B, et al. “Effect of extracorporeal shock wave therapy and ultrasound-guided needling in rotator cuff calcific tendinopathy.” 2024.
- Orthobullets. “Calcific Tendonitis.” 2024.
施術の流れ
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